◇第1章◇ クラスメート

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そういえば、送ってくれたお礼を言わずにバイバイしちゃったな……。 既に哲也の姿は見えない。 そうだ、携帯っ…! 急いでカバンから携帯を取り出して哲也に電話をかけた。 こんなの寂しさを紛らわす口実だよね。 でも出てっ!お願いっ! -『もしもしっ?千夏?』 -「あ、哲也?」 -『何だよ?忘れもんでもした?』 -「うん…。送ってくれてありがとうって言うの忘れてた」 -『なんだそれ』 笑われてる。 恥ずかしいっ…。 名残惜しいってのが図星だぁ。 哲也に電話をかけた事を少し後悔した。 -『お前、もう家の中?』 -「まだ外だよ…」 -『ちょっと待ってて』 え?待っててって言った? 電話が切れて、プーッ プーッっていう音だけが耳に響いてきた。 もしかして、私の想いが通じたのかな…?? 戻って来てくれるの…? 携帯をカバンに締まって、キレイな星空を見上げた。 5月の空気は程よく冷たい。 これがもうすぐ暑くて暑くて耐えられない程になるなんて想像もつかないよ。 夏が終われば哲也に時間ができる。 2人きりで幸せな時間をたくさん過ごせるよね? それまでの我慢! ちょっとしてからキコキコと自転車をこぐ音が聞こえてきて、真っ暗な夜道に哲也の姿が見えてきた。
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