◇第1章◇ クラスメート

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「哲也っ!どうしたの?」 哲也の傍まで駆け寄った。 「お前の声聞いたら寂しそうだったから戻ってきてやった」 すごい…。本当に通じてた…。 でも素直に“嬉しい”が言えない。 「何それ!全然寂しくないよっ」 本当にかわいくないな、私。 「それに、忘れ物もしたし…」 忘れ物?? 「私、哲也のもん何か持ってたっけ??」 自分の自転車のカゴに入ったカバンに目をやったけど、思い付かない。 「千夏!」 哲也に呼ばれて顔をあげた瞬間、哲也の唇が私の唇に触れた。 1stキス… 突然でびっくりして固まってしまった。 「おいっ!」 「わっ…」 哲也の声で我に返り、そのとたん顔が熱くなってきた。 「哲也突然なんだもんっ…。びっくりするじゃん」 「嫌だった??」 そんな訳ない。 嬉しい…。 言葉に出せなくて首を振った。 「じゃあ明日な」 「うん!!」 今度は寂しくなんてなかった。 哲也の気持ちが少し通じて、やっぱり自分は彼女なんだと自信が持てた。 付き合い出して2ヶ月。 まだまだきっと幸せは続いてく。 そう信じてる。 ---------… ----- 付き合い初めはぎくしゃくしてて、 哲也の気持ちを求めてばかりだった。 哲也の… 本当の優しさには 全然気付いてなかったね。 哲也がこの学校に来た本当の理由、 胸に秘めた強さ。 悲しみ。 辛さ。 たくさん壁はあったけど、 私はこの学校に来て、本当によかったって思ってるよ。 哲也に出会えてよかった。 今でも…… 哲也が好きだよ。 いつか、 またこの想いが、 哲也に届くといいな。 卒業してしまった今、 そう思ってる---……。
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