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「でも監督命令だもん…診断書もいるし先生に書いてもらう書類もあるから」
木内さんが哲也に茶色い封筒を見せた。
それを渡してくれれば私がもらってくるけど??
部外者だからダメなのかな?
哲也がため息をつきながらカバンから何かを取り出した。
「……先に行って診察券出しといて。後から行く」
え…?今日はマネージャーと行くって事…?
そんなぁ~…。
哲也の顔を見上げたら、木内さんをジッと見つめていた。
「分かった…。先に行ってる」
木内さんが診察券を受け取って封筒の中に入れた。
その封筒がほしい・・・!!
私が一緒に行くはずだったのに。
「行くぞっ」
「えっ?」
急に哲也に腕を引っ張られて、転びそうになりながら下駄箱まで歩いた。
何故か下駄箱を通り越す哲也。
「哲也??どこ行くの?」
階段を上がっても、まだ足を止めない。
着いた先は、野球部のグランドが見渡せる資料室。
「ここ入っていいの…?」
広い広い部屋の奥に本棚が2列あって、古臭い本がたくさん並んでいる。
他にも使われてない教材がいっぱい置いてある部屋。
「たまにここで授業さぼってる」
ここで??知らなかった…。
「いけないんだぁ」
たまにいなくなる時があったけど、ここにいたんだ…。
「はぁ。今日もお前と帰ろうと思ったのになー」
窓を開けながら、哲也が言った。
私だって哲也と一緒にいたいよ………。
「明日からまた部活だし…今日はお前とゆっくりしたかったんだけど」
………そんな事言ってくれるなんてちょっとビックリ…。
今すぐ抱き着きたい…!
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