◇第2章◇ 目標

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窓際に立ってグランドの方を見ている哲也。 そこから心地好い風が入ってくる。 「………夏まで待ってるからいいよ。大会が終わったらゆっくりしようよ」 本当は夏まで待てなくて、もっともっと2人でいたい。 けど、哲也には野球があるもんね。 「………今年は甲子園が狙えそうなんだ。去年もいいとこまでいったんだけど…吉崎先輩が怪我で試合に出れなくなっちゃって」 吉崎先輩って、葵が言ってた人だ。 そういえば、哲也と野球の話しをするのはこれが初めてだな。 「いいとこまでって?」 「準決勝で負けた。3年の先輩らと一緒に吉崎先輩もすげぇ泣いててさ…。そん時思ったんだ…。来年は吉崎先輩と絶対に甲子園へ行くって」 甲子園て、私には全く関係ないもんだと思ってたけど、 哲也の思いがひしひしと伝わってくる。 「行こうよ、甲子園!!絶対行けるよっ!!」 うちの学校のレベルがどんなもんか、他にどんな強豪校があるのか分からないけど、行けると思った。 この時は…。 「やっぱりバカと話すとスッキリするな」 「どういう意味?!」 哲也が笑ってまたグランドを見た。 そんな哲也を私は訳が分からずにプンプンしながら見てた。 きっと哲也は、 どれだけ現実が厳しいかわかってたんだね。 この頃の私は 何にも分かってなかったんだ…。 .
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