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「でも…吉崎先輩がいたらマジで行けるかもな。あんなにすげー先輩はいねぇよ。カッコイイし!」
へ~、吉崎先輩ってそんなにすごい先輩なんだ…。
そういえば…
「みっちゃんも言ってた。吉崎先輩がカッコイイって」
私がそう言うと、哲也は呆れた顔をした。
「俺のカッコイイはそういうのじゃねぇよ」
何となく分かるよ…。
野球と向き合ってる姿もカッコイイんだよね。
哲也がそれだけ憧れる先輩って、どんな先輩なんだろうな。
「さぁて、そろそろ行くか。お前、一人で帰れる?」
帰れるけど…、一緒に帰りたい…。
でも病院で木内さんが待ってるし。
一人で帰るしかないね。
「うん」
哲也がカバンを持って立ち上がり、私もゆっくり立ち上がった。
「もし甲子園に行けたらさ…、俺ってスターじゃん?」
は??なに急に調子に乗ってんのっ。
「っていうか吉崎先輩がスターなんじゃない?」
「あ、そうか」
「そんなバカな事を言ってたら甲子園には行けないよっ」
「ハイハイ」
も~本っ当にお調子者なんだからぁ。でも甲子園かぁ……。
行けたらいいなぁ。
そしたら哲也、超有名人??
それは嫌だなっ。
「あ、忘れ物っ」
忘れ物??
そう言った哲也を見て思わずドキッとしてしまった。もしかして…
「自転車のカギ~置きっぱなしだった」
本当の忘れ物かぁ…。
ビックリした。
「あー、お前今ちょっとガッカリしただろ??」
「はっ?!し、してないよっ…する訳ないじゃんっ…」
ビックリはしたけど。
急いで向きを変えて資料室の扉を開けようとした。
「待てよっ」
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