◇第2章◇ 目標

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「でも…吉崎先輩がいたらマジで行けるかもな。あんなにすげー先輩はいねぇよ。カッコイイし!」 へ~、吉崎先輩ってそんなにすごい先輩なんだ…。 そういえば… 「みっちゃんも言ってた。吉崎先輩がカッコイイって」 私がそう言うと、哲也は呆れた顔をした。 「俺のカッコイイはそういうのじゃねぇよ」 何となく分かるよ…。 野球と向き合ってる姿もカッコイイんだよね。 哲也がそれだけ憧れる先輩って、どんな先輩なんだろうな。 「さぁて、そろそろ行くか。お前、一人で帰れる?」 帰れるけど…、一緒に帰りたい…。 でも病院で木内さんが待ってるし。 一人で帰るしかないね。 「うん」 哲也がカバンを持って立ち上がり、私もゆっくり立ち上がった。 「もし甲子園に行けたらさ…、俺ってスターじゃん?」 は??なに急に調子に乗ってんのっ。 「っていうか吉崎先輩がスターなんじゃない?」 「あ、そうか」 「そんなバカな事を言ってたら甲子園には行けないよっ」 「ハイハイ」 も~本っ当にお調子者なんだからぁ。でも甲子園かぁ……。 行けたらいいなぁ。 そしたら哲也、超有名人?? それは嫌だなっ。 「あ、忘れ物っ」 忘れ物?? そう言った哲也を見て思わずドキッとしてしまった。もしかして… 「自転車のカギ~置きっぱなしだった」 本当の忘れ物かぁ…。 ビックリした。 「あー、お前今ちょっとガッカリしただろ??」 「はっ?!し、してないよっ…する訳ないじゃんっ…」 ビックリはしたけど。 急いで向きを変えて資料室の扉を開けようとした。 「待てよっ」 .
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