951人が本棚に入れています
本棚に追加
グレンは少女が握り返された手に力を込め、座り込んだままの少女を立ち上がらせた。
少女が短くお礼を述べて一段落着くことで落ち着きを取り戻し、相手を認識する余裕が生まれた。
恐らく15、16歳程の外見をした同年齢かと思われる少女。
その立ち姿はどこか凛とした佇まいであり、グレンの頭半分ほど低い位置からまるで黒曜石のように輝く瞳でグレンを見上げている。
髪は艶やかな黒髪を腰まで伸ばし、後頭部付近で一つに纏めたポニーテール。
装備はグレンと同様に最低限の金属系防具、更には皮系防具を着けた軽装であった。
口許は一直線にきつく結ばれ、そこから内面の几帳面さが滲み出ているかのようだ。
「本当に、すまなかったな」
少女は再度、グレンへと謝罪を述べる。
律儀に下げられた頭と同調し、ポニーテールもピョコンと軽快に跳ねた。
「あ、いや、こちらこそ……」
その動きに釣られたように、グレンは頭を直角に、まるで頭突きでもするかのように慌てて頭を下げ返す。
最初のコメントを投稿しよう!