第1章 ギルド

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 目的地に行く為、西のメインストリートへと向かう。  この王都の街並みを上空から見下ろせば、城を中心として半径1km程の円形都市となっている事が分かる。  中央の広場から街路樹に挟まれたメインストリートが四本存在し、それぞれが<東西南北>方向一直線に街の外まで伸びる。  メインストリートの両脇には、品のいい店舗や中世風の街並みが建ち並び、道を歩く"NPC"――"Non Player Character"達もどこか垢抜けた印象を受ける。  この各メインストリートは市街を四つに分け隔て、それぞれのエリアに有名なギルドがホームや本部を構えていた。  そんな街の<北西>エリア。  そこにグレンが所属している、千を越える数在るギルドの中でも指折りの実力を備え――更にはその保有戦力故に、この広大なる仮想世界内にて【最強】の称号を冠する傭兵ギルドが存在した。  グレンは広場を出て、商人プレイヤー達が路商を行っている通りの人混みをすり抜けるようにして進む。  そして枝分かれした幾つもの細い街路の道を幾度と曲がり、目的地であるギルドホームに辿り着く。  ホームは市街通りの一角に存在し、周囲の西洋風の住宅に違和感無く溶け込んでいる。  そう――<違和感>無く、である。  【最強】の称号を冠するギルドと呼ばれ、ギルド設立から二年以上が経過している最古参ギルドの一つ。  ギルドメンバーの殆どが名の通った強者・猛者揃いでありながら、こじんまりとした規模のギルドホームなのであった。  その規模は初心者ギルドと何ら変わらない程だ。
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