間章 隻眼の魔神・前編

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 <Ⅰ>  【オーディン】と言う名の神は、北欧神話の【主神】にして、戦争と死を司ると言われる存在。  そしてこの仮想世界【クロノス】にて生きる伝説と称される化け物。  荒ぶる鬼神の顕現、何者にも負けぬ【勝利】を神格化した存在。  知略・謀略にも長けた神であり、神の文字<ルーン>を得るため己の片眼を抉り、主神たる己自身に首を吊って己を捧げたともされる、<狂える神>。  時に<ウォーダン>とも呼ばれしその名は、【狂乱】の意に由来する。  オーディンはこの世界にて、原初に創られた神であり、生け贄の一柱(ひとはしら)。  【神々の黄昏(ラグナロク)】  この世界で【厄災】と呼称されし物語の一節、その神話にてなぞられ消滅する存在。  神話に基づけば、【魔神】オーディンは邪神なるロキの息子、魔狼フェンリルにてその肉体を噛み砕き、飲み込まれてこの世界から消滅する運命にある。  この世界にてオーディンと言う一つの存在/プログラムが創られたその時から、それは運命付けられていた不可避の事象。  しかしオーディンは、【厄災】から2年以上経つこの世界で未だにその身を存在させ続けている。  その理由は簡単だ。  何者かが【魔狼】フェンリルを倒し、この世界から消滅させたからである。
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