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≪Ⅰ≫
対峙する、灰色の髪をした青年と薄い桃色の髪をしたメイド服を着こなした女性。
グレンがギルドホームの玄関を開けると、何故かメイドさんがいた。
――まあ……洋館みたいなもんだしな。メイドさんが居ても特段変じゃない筈だ。
「……って違うっ!!」
端から見れば、唐突に自分に突っ込みを入れる不思議な人物であった。
自分自身の奇行に混乱した頭を正常に戻し、グレンはもう一度目の前の光景を再び認識する。
傭兵ギルドのホームの扉を開けると吹き抜けとなっている大空間が存在する。
その玄関ホール兼応接エントランスに入ると――本来居る筈の無い、メイドさんがいた。
頭には腰まで緩くウェーブした薄い桜色の髪に、ちょこんと乗せた白のプリム。
服は黒の長袖に、フリルがあしらわれた白いエプロンドレス。
こちらも黒のフリルがあしらわれたミニスカート、そしてしなやかで健康的な脚には同色のストッキング。
若干ゴスロリが入った服装をした一つ年上の、グレン――いや、海斗の【幼なじみ】であるお姉さんが居た。
――目の錯覚でも、なんらかのバグでも無かったか。
「…………何でここで溜め息つくかな、グレン君?」
グレンの無意識のうちに出た溜め息に反応し、怒りと羞恥心がブレンドされた叱責が届く。
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