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その声にグレンはピクリと肩を跳ねさせ、頬を掻きながら視線を逸らして口を開く。
「あ、いや…………それより、なんでメイド服着てるんですか? サクラさん」
どうやら臍(へそ)を曲げてしまった様子の女性に、おそるおそる質問する。
「エヘヘ。えぇっと、これ似合ってる……かな?」
やや慌てた様子のグレンの質問に対し【サクラ】は頬を薄く染め、少し焦ったように感想を聞いてきた。
「――え、えぇ。似合ってます……」
グレンは多少つっかえながらだが、無難に答える。
サクラを直視せず、明後日の方向を見ながらだが。
「ホント!? ありがとっ」
グレンが答えると、サクラは赤みが増した頬に嬉しそうに笑みを浮かべた。
「――色さんも、この服どうかな?」
サクラはスカートの裾を指で軽く摘まみ、グレンの腰に下げてある【妖刀・色】に問い掛ける。
「――うむ、我もその衣服はサクラに似合ってると思うぞ。
我が主も、その衣服を着たサクラを可愛らしいと心の中で告げていた」
「――なっ!!」「えっ……!!」
サクラが何気なくした質問が藪から蛇――ではなく、爆弾が出てきてしまった感じだ。
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