第2章 アルテミスの依頼

3/57
951人が本棚に入れています
本棚に追加
/628ページ
 その声にグレンはピクリと肩を跳ねさせ、頬を掻きながら視線を逸らして口を開く。 「あ、いや…………それより、なんでメイド服着てるんですか? サクラさん」  どうやら臍(へそ)を曲げてしまった様子の女性に、おそるおそる質問する。 「エヘヘ。えぇっと、これ似合ってる……かな?」  やや慌てた様子のグレンの質問に対し【サクラ】は頬を薄く染め、少し焦ったように感想を聞いてきた。 「――え、えぇ。似合ってます……」  グレンは多少つっかえながらだが、無難に答える。  サクラを直視せず、明後日の方向を見ながらだが。 「ホント!? ありがとっ」  グレンが答えると、サクラは赤みが増した頬に嬉しそうに笑みを浮かべた。 「――色さんも、この服どうかな?」  サクラはスカートの裾を指で軽く摘まみ、グレンの腰に下げてある【妖刀・色】に問い掛ける。 「――うむ、我もその衣服はサクラに似合ってると思うぞ。  我が主も、その衣服を着たサクラを可愛らしいと心の中で告げていた」 「――なっ!!」「えっ……!!」  サクラが何気なくした質問が藪から蛇――ではなく、爆弾が出てきてしまった感じだ。
/628ページ

最初のコメントを投稿しよう!