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「お、おい、色っ!!」
頬を真っ赤にしたグレンは慌てて妖刀をグッと最大の力で掴み、睨み付ける。
「ん?……どうかしたか、主?」
色は白々しく、そして笑いを滲ませた声で答えた。
グレンはこのまま言い合ってもこちらが不利と瞬時に判断する。
そして大至急に、早急かつ迅速に、この場の空気を変えようと口を開く。
「そ、そういえば!! 何でメイド服着てるんだサクラさん!?」
多少強引ではあったものの、グレンは耳まで赤く熟れたサクランボのようなサクラに問い掛ける。
「えぇっとねっ!! この服は【ツキ】さんが私にって!!」
サクラはまだ頬を紅潮させたまま、慌てて答える。
「あぁ、やっぱりか……全く、あの――」
「グレンくんが、絶対可愛いって言うから着てくれって…………」
「――――あのクソ野郎が!!!」
グレンは予想外な回答に、思わず叫んでしまう。
サクラが突然叫んだグレンを目を丸くし、パチクリと見詰めた。
その視線に、グレンは正気だということを手を軽く上げてアピールし、落ち着くため深呼吸をひとつ。
「ハァ……あの人の事だから、いつもの事だとは分かっているるけど……」
ふとグレンは気配を感じ、部屋の奥の扉に視線をスライドさせる。
そこには、扉の隙間からこちらを覗いている人影。
「――――って、おい!! マスターッ!!」
まるで悪戯を仕掛けた子供のような姿に、反射的にグレンの口から叫び声が飛び出した。
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