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「まーた見てんのか?橘の事」
「…うん、橘さんって空が本当に好きなんだなって」
「橘の恋人だからなー。何、お前好きなの?」
「えっ……うーん…別に、かな」
橘さんが好き、ではないと思う。
でも気になるのは本当だ。
曖昧な返事に納得したような、してないような顔で内田は前を向いた。
「でーもさ、好きな奴くらいつくれよ。高2なんだしさ」
「あー、だねー」
振り返らずに言う内田の言葉に、適当に返事をし、橘さんの見ている方を見た。
青空。
澄みきった空が窓いっぱいに広がっている。
暑そ…。
俺が空に感じる感想なんてこんなもんだ。
でも多分、橘さんは違うんだ。
きっと青空にちゃんとした感想を持っているんだ。
空から目を離して隣の席を見ると、誰もいなくなっていた。
周りを見回すと教室の隅で友達と喋っていた。
ぼーっとしているし、少し変だけど彼女は明るくて、友達が多いのだ。
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