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「蒼空。俺さ、好きな人ができた」
不意に内田がこちらを向く。
「えっ…。あ、ああ、おめでとう」
急に話を振られて上の空だった俺は慌てて返した。
「おめでとうって何だよ。彼女ができたわけじゃないんだぜ?」
茶化しながら内田は言うが、目は真剣そのものだ。
「が…頑張れ、内田。内田なら大丈夫……だと思う」
「ははっ、ありがとな!」
その時、バンッと俺の机に両手を置いた女子。
…もとい、橘さんは顔を上げると俺の顔を掴み、じっと見つめた。
な、何!?
何かしたっけ、俺?
話した事すらないのに!!
「ミカサソラ…くん?」
「は、はいっ」
いつもより低くて小さい声が聞こえて俺は反射的に答えた。
「三笠ソラくん」
「はい」
二度も名前を呼ばれ掴まれている顔が少し赤くなる。
だが、次の彼女の言葉で赤さなんて吹き飛んだけど。
「ソラくんって“蒼空”って書くんでしょ?かっこいいね」
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