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「……え?」
二人が飴玉に気を取られている隙に、俺はカスメトールで近い方の男の心臓を、手で銃を掠め取った。そして心臓が無くなった男を遠くへ蹴飛ばし、銃口をもう一方の男へ向ける。
そこで驚く。なんだこの銃、軽すぎじゃね、と。
どこからどう見ても一般的な手にフィットするサイズなのに、持ってみればあまりにも軽すぎる。
うわぁ、絶対パチもんだよこれ。
拍子抜けした俺は、溜め息を吐きながら女の子に近寄っていく。
「く、来るな! 撃つぞ!」
「おお、いくらでも撃て。俺は撃たんからな」
正確には撃たないではなく撃っても意味がない、だが。
未だに心臓を鷲掴みにしている俺を見て恐怖心が煽られたのか、じりじりと後退っていく男。
俺が近付く度、女の子の体が震える。
「うわぁぁ!」
恐怖に耐えきれなくなった男は、俺に銃口を向ける。そして、そのまま一気に引き金を引いた。
あーあ。だから言ったのに。
まさに今、男の銃は火を噴いている状態だった。
「ほらよ、ド素人」
呆然とする男に心臓を投げる。
俺が投げたそれは綺麗な弧を描き、辺りに鮮血を撒き散らしながら男の顔面に被さった。
「ぶわっ!」
正気を取り戻した男が心臓を引き剥がすが、そのためにはライターを捨てなければならない。
丸腰の男はライターを装備した俺に為す術もなく降伏した。
まあ、逃げただけなんだが。
「大丈夫ですか?」
女の子に声を掛けると、泣きながら抱き付かれた。
なに中学生に慰めてもらおうとしてんだ、こいつ。
見たところ、お前大学生だろ。
年上は好きだけど、泣いた顔キモい。
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