理想の主人公像、其の弐

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「今回だけ血反吐吐くまでがんばって、次回から不思議兵器使ってめっちゃ楽しようぜ」 さらりと言いのける篠田だが、実際のところそれはなかなかに難しい。 そもそも兵器を一つ奪取するのに、平均して六時間の死闘を繰り広げる必要があるうえに、狙った獲物が兵器を持ってない確率も考えるとやはりそれは得策とは言えない。 「何人か目星は付けてある。あとはおびき寄せて網に引っ掛かったところを叩くだけだ」 「よし、やるか」 ちゃんとそこまで考えてくれてるんじゃないの。 それじゃあ『ドキッ☆秋のお宝秘蔵兵器大量ゲット大作戦!』の詳細を聞くとしますか。 「やっぱ主人公ならそう言うと思ってたぜ。じゃあこれを見ろ」 PCの画面を俺に見せつける。そこには数人の顔写真が映し出されていた。 まず一番上の、ものすごくエラが張っている男を指差す篠田。 「こいつは組織の幹部の一人、沼江隼天(ヌエ ハヤテ)だ。所持兵器はカスメトールと四次元バケットだ」 ずいぶんと中世ヨーロッパの貴族的な兵器だな。 それにしても、なかなか厄介な兵器を使ってやがる。 次に、その下に表示されている、少し目鼻立ちの整った青年。 「こっちは恵山一之(エヤマ カズユキ)。一般人だが、ワラエール、ヒメループ、ブタロース、ハゼリングと、四つもの兵器を所持している。こいつを殺ればかなりでかい収益になる」 効果がわからない兵器ばかりだな。 「ワラエールは好きなタイミングで対象一人を笑わせることができる兵器だ。ブタロースは対象一人の体脂肪を二十パーセント増大させる。どちらも使い捨てだ。ハゼリングは指定した場所を爆発させる。ヒメループは……まあ簡単に言えば、『ずっと俺のターン!』かな。これらは一定回数使用可能だ」 「だいたいは理解したぞ」 ていうか後の二つが強すぎてやばい。
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