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「さて、なぞなぞの答えだけど。
トランプ達が食べれなかったもの…」
「はいっす!
おやつじゃないっすかね!
木イチゴだから間違いないっす!」
「これはなぞなぞよ?そんな簡単な答えな筈はないわ。それにおやつなら、お昼には食べられるでしょう?」
桃縁眼鏡は銀のスプーンをくるくると回しながら冷静に答えた。
自信があったらしい いちこは肩を落として落胆する。
「それじゃあ何っすかねえ。
うぁぁあああ!!
……わからねっす!!ひねくれてるっす!!」
「たとえば。朝に食べれなくて昼に食べれないものを考えるの。そうすると、おやつは昼には食べれるでしょう?
それに、時間は正確に明かされていない。問題に『木イチゴ』を入れることによる言葉の罠よ」
「ほうほう……なるほど。
そうか!『木イチゴ』でおやつを意識してしまった!」
「そう。答えを『おやつ』と思わせる為の罠。
答えは単純なものよ。朝に食べれて昼に食べれないもの。
それは──
『朝食』……これしかないわ」
いちこは桃縁眼鏡が言う答えに目をぱちくりさせ、思わず両手をワナワナさせながら
「……お、ぅおぉぉおおお!!!
スゲーっす!!名推理っす!!
ブッチー天才っす!!!」
「どうってことないわ。こんな問題」
桃縁眼鏡はさも興味の無さそうに銀のスプーンをくるくると回転させ、近くの茂みにそれをひょいっとなげた。
ガサッとそれは音を立てて茂みの中に消える。
それと同時に ふぎゅっ! っという奇声が響いた。
「さあ、さっさとアリスの場所を教えなさい。ネコさんとウサギさん」
桃縁眼鏡はスプーンを投げたほうに語りかけた。
いちこは はっ としてそちらを見る。
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