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「あ……うぁああ……!
疲れたっすぅう!!湖はまだっすかぁあ!!」
「静かになさい!余計疲れるでしょう!」
小一時間くらい森の中をさまよったせいか、いちこも桃縁眼鏡も疲労が限界に達していた。
「ブッチー……疲れたっす……
水ぅぅううう!!」
「うるさい……静かに……
ん? ……なんか焦げ臭くない?」
「焦げ臭い……?うう、誰か肉でも焼いてるっすか?」
どうすればこの状況でそんなポジティブな考えができるのか……
と、桃縁眼鏡が呆れていた矢先、目に入った光景に目を疑った。
「いいや……、焼かれたみたいよ。
ヒトの“肉”が……」
「うぅ……ヒト……。
ヒトっすか……ぅええぇぇええ!?
ヒトぉぉおおお!!?」
桃縁眼鏡が引き気味に視線を送る先には、全焼し黒こげになった建物とその下にうつ伏せで倒れているヒトの焼死体だった。
「うぇえ……マジっすか……
死んでるっす……悲惨っす……」
「誰の遺体かしら。もしかして、他のクリエイター?」
「うぼぇあああぁぁああ!!!
やめるっす!!そんな縁起でもないこと言っちゃだめっす!!!」
「……まあ、それはないみたいね。ほら」
桃縁眼鏡は遺体に近づくと、その傍にある黒いものをつまみ上げた。
「コレ、シルクハットに見えない?」
「うわぁぁあああ!!ブッチーチャレンジャーっす!!!よく素手で掴むっすぅう!!!」
「多分、コレは帽子屋のカタミね。
ま、ほっときましょう。さっさと行くわよ」
「ぁあ!!待つっす!!
せめてお墓でも作ってあげるっす……」
「そんなことしているヒマはないわ。行くわよ」
さっさと歩きだす桃縁眼鏡に、泣く泣くいちこはついていった。
その刹那、
いちこは黒こげの建物の中に、
焼け焦げたゴスロリ服が落ちているのを見た気がした。
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