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聴覚と、そして第六感で感じ取るのだ。
憑依一体を行使している今、異形の霊を捉えるなど容易いこと――!
「そこかっ!」
裂帛の気合いで、想助の身が空を跳んだ。
住宅地を眼下に、想助は影と相対する。
まるで墨で塗たくったような、真っ黒な胴体。輪郭は歪で、角ばったり、かと思えばへこんだ部位も見受けられた。
人型でありながら、しかしその顔は牛だ。真っ黒で、牛の頭。だけど口角から覗く牙は牛とは程遠い獰猛なそれだ。
夜闇に異形の者の金眼が禍々しく光る。
そこにあるだけで嫌悪と不快を撒き散らす、負を結集させたかのような異物。
想助はそれと、真っ向から向き合った。
「逃がしはしないぞ」
【こんなザコ、さっさとケリ着けちまおうぜ】
頭蓋に直接響く不満の声に頷いて、拳に力を込めた。ありったけ。魂を拳に注ぐつもりでグッと握る。
異形の者が動く。口腔から生まれる声に理性の欠片もない。
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