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幽霊という希薄な存在に似合わぬ、威風堂々たる少年である。
背丈は想助よりも頭一つ分高く、身体つきも引き締まっている。亜麻色の頭髪は反り立ち、獅子の鬣を彷彿とさせた。
ならばその眼光もまた、然り。琥珀の瞳は鋭く、漂う雰囲気は強者のそれである。凛々しい横顔は、歩んできた道の過酷さを物語るかのようだった。
名を、東雲 太一。三週間前のとある事件を機に、想助の相棒となった善霊である。
善霊とは、文字通り善き霊。つまりは、死の間際に負の感情とは違う強い想いを持って現世に留まった者を指す。
この場では、東雲と天貝が幽霊――善霊だ。
【別にどっちが仕留めようが構いやしねぇだろうが】
東雲は不機嫌さを隠そうともせず、そう吐き捨てた。その眉間の険しさといったら、善霊が善き霊であるという定義を根っこから覆しかねないほどであった。
東雲の発言に同意を示したのは、意外にも剣時である。
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