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自分や剣時は悪霊を祓うエキスパート――想術師である。
だが、それは善霊を相棒として初めて成立する。想術師一人では、どれだけの才能があろうと悪霊を倒すのは困難なのであった。
頭上からの声は、優しく頭を撫でるようだった。
「水臭いよ、想ちん。ボク達、親友でしょ?」
「…………そう、だな」
言葉を介して、剣時の想いが胸に染み渡る。
三週間前。
ある悪霊との戦いで東雲に出逢い、自分の愚かさを知り、一人の少女と出逢い、自分の目指すべき道を知ったそれまで、ずっと自分を偽り、誤魔化し続けてきた。
他人の想いなんて信じられないと。それっぽい理屈をつけて、裏切られるのが怖いという事実から目を背け、剣時や祖父の想いを拒み続けてきた。
それが今。想助は剣時の想いに、素直に有り難みを感じている。
そのことが、想助は嬉しかった。
【そうで、すよ。僕は気にしてい、ません。想助クンが良い、人だって知ってますから】
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