‡第一章 想助の日常と非日常‡

10/58
前へ
/162ページ
次へ
  「ありがとう……」   【はっ。そうそう、気にするこたぁねぇんだよ、想ちん】   「煩い。というかそのあだ名で呼ぶんじゃない」    東雲の傲慢な一言で雰囲気はぶち壊しだった。  相棒の関係になって三週間が経つけど、未だにこの少年とは一心同体、阿吽の呼吸とはいかない。    元々、出会った頃から我が強く、孤高で在ったが為に、こればかりは如何せんともし難かった。   「ま、楽しいお話もそこそこにして、帰ろうか」    時刻は深夜に差し掛かったところ。早く帰って睡眠をとらなければ、明日の学業に支障を来すのは明白である。  自分達とて、本業は学生なのだ。想術師にかまけて学業を疎かにする訳にはいかない。   「そうだな。じゃあ、剣時。また明日」   「うん、また明日ー」   【では、想助、クン……しのの、めクン……】   【器用に名前で区切ってんじゃねぇよ】    そんなこんなで、今日も一日が終わろうとしていた。  
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加