‡第一章 想助の日常と非日常‡

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  【何かあんのか?】   「会合があるんだよ。想術師の」   【会合ぅ?】    一年に一度、全国に点在する想術師が一堂に会する機会があるのだ。  想術師の正統な家系は名字に一から九の数字を戴いた九つの家系のみ。彼ら或いは彼女らが集まり、近況報告やら新当主の発表などを行うのである。   「お前は一昨年も去年も出席しておらんのだ。今年こそは来て欲しいと催促しておったよ。儂の意見も含めて、の」   「分かってるよ。断る理由もないし、これも義務だからね」    幽霊の力を借りる想術師という存在を忌避していた去年までの自分と今の自分では、心境が大きく異なっている。  参加しない訳にはいかない。   【面倒な話になってきたぜ……】    意欲的な想助とは対照的に、東雲のぼやきは消極的である。   「そう言うな。お前も一応は想術師の相棒となったんだ。付き合ってもらうぞ」   【そうですよ。これも大事な義務ですから】  
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