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凛華は無視しようと背を向けた。しかし、背後からの断続的な笑い声が気を散らせる。ぐふふふ……て、一体どこのセクハラオヤジだ。
気が散って仕方ない!
「あーもー! 何が言いたいん!? ハッキリ言いや」
【んふー、別にー? 愛しの彼に会えるんだし、そりゃ気合いも入るわ】
瞬間、頭がフリーズした。
茜の科白(せりふ)が内耳に何重にも木霊して思考を席巻していく。
彼。
愛しの、彼――。
「は、はぁ!? 何言うてるん! べべ別にアイツが愛しいとかそんなん……!」
【アイツって?】
間髪を置かずに飛んできた返答に凛華は我に返るや、歯噛みした。
茜が視姦だと糾弾されてもやむ無しってぐらいのアレげな眼差しでいるのだ。
――しまった、嵌められた!!
【リンカちゃんの愛しのアイツって、誰なのかなー?】
獲物をいたぶる肉食獣よろしくな笑みである。
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