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何か反論しなければ、と頭の中を必死に掻き回す。が、口下手な自分がそうそう上手い言い訳を考えられるはずもなく。
「う、うー……!」
こうして、威嚇するしかない。
そもそも口下手な自分が、人をからかうことに関してだけは才能を持っているとしか思えない彼女に口論で対抗出来るわけがないのだ。
そう考えると、なんだかムキになるのが馬鹿馬鹿しく思えてきて、つい弱音が零れた。
「だ、だって三年ぶりに会うんやもん。ちょっとでも可愛いとか、綺麗って思われるようにしたいやんか……」
相手が自分の相棒ということもあって、凛華はつい気を緩めると極端に弱気になってしまう。
しかし、それは自分にとってあまり好ましい傾向ではない。治さなくちゃ、と自分では思うのだが……。
俯いていた凛華はふと、茜から声が消えていることに気づく。また言わなくてもいいことを言ってしまった。今度はなんと茶化されることになるのやら。
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