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そこで凛華は、予想とは違う光景を目の当たりする。
悪戯好きな相方は、どういう訳か俯いて、肩を震わせていたのだ。前髪に隠れて、その表情は窺い知れない。
「ど、どうしたん? 茜」
心配して、というよりは不安になって、凛華は問うた。
もとより、この茜という少女がそうそう落ち込んだり、悩んだりするような繊細な神経など持ち合わせているとは思えない。
そんな風に考えていると、茜が動いた。
――自分の方へと、突っ込んできた!
【んりぃんかちゅわぁぁん!!】
「ひぃぃっ!!」
首をなぞった悪寒に悲鳴が洩れた。回避も間に合わず、凛華は茜の餌食になった。
受け身もとれず、突っ込んできた茜もろとも床に崩れる。
【んもぅ、アンタってばどうしてそんなにカワイイのかなー!!】
「う、うっさい! そんなんエェから離れて!」
振りほどこうにも、力では向こうの方が上だった。てんで離せない。
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