‡プロローグ‡

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   こういう時、自分の職業が恨めしくなる。ただの一般人なら、一々幽霊に触られたりせずに済むのに!   「もー、まさぐるなっ!」   【イィじゃんイィじゃん! これもスキンシップの一環だって】   「そんな手をワキワキさせといてスキンシップな訳あるか!」    茜は聞く耳を持たない。正直女子としての品性を疑うだらしのない顔でセクハラを強行してくる。(この場合の強行は凶行とも言う)  というか鼻息が荒い。幽霊だから実際に息をしている訳ではないのだけど、それでも音はするのだ。それだけで既に迷惑なレベルだった。    この見た目美少女或いは美女でありながらの中身オッサン女は自分の頬とこちらの頬を擦り寄せてほくほく顔だった。  ふと、その顔が離れてこちらを向く。   【でもあれだね。リンカちゃんの天の邪鬼とカレの朴念仁を考えると、前途多難なのが実に残念だ】   「…………大きなお世話や」  
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