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「デュラララァッ!!」
「いででででっ!?何だなんだぁ!?」
「…………」
圭吾が俺に触れる直前。冬理は一瞬で圭吾の横に回り込み、おかしな雄叫びを発しながら圭吾の横腹を殴り付けた。
え、なに?冬理って意外と武闘派なのか?
「某は千富橋彩夏の妹。千富ば…」
「なにっ!彩夏ちゅわんがいるのか!?俺を待っていてくれたんだねマイスイート!」
しかし圭吾は冬理の攻撃をものともせず、彩夏の名前を聞いた瞬間、冬理の言葉を遮って標的を彩夏に切り替え、抱き着くような体勢に入った。
てか、俺と一緒にいるのが誰かも確認しないで飛び掛かってきたのかよ。
あれか。女子と一緒にいた事が気にくわなかったのか。
「某のこの手が真っ赤に燃える!お姉を救えと轟き叫ぶ!!うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!ベル〇ンの赤い雨ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「いやそれ混ざ…ぐぼぼぼぼっ!?」
今度は圭吾と彩夏の間に入った冬理は、何を思ったのか、手に赤い手袋をはめてから圭吾の顔面に逆水平を叩き込んでいる。
移動は素早いけど前口上が長いな。あと何か混ざったらしい。
「あはは……面白い人だね……?」
しかし普段人懐っこい彩夏をここまで引かせるとは……流石と言わざるを得ない。
「じゃあ行くか」
「えっ!?二人はいいの?」
「大丈夫だろ。なんか楽しそうだし」
主に殴られてる圭吾が。
「それに待ってたら遅刻するかもしれないだろ?」
俺は学校の時計を指差して彩夏に今の時間を教えてやる。
今は予鈴も鳴り終え、時間は27分。結構ギリギリだ。
「そっか……分かった!じゃあとうちゃん先に行くね?」
「了解っす!このテラホ野郎を潰したら某もすぐに後を追うっすから!!」
俺達は強敵と闘っているような台詞の了承を冬理に貰い、少し急ぎ足で校舎に向かって歩き出した。
彩夏の妹なだけあってなかなかキャラが濃いな。でも何故か圭吾と気が合う気がする。
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