新入生はアイツの妹。その名も……

6/8
535人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
「デュラララァッ!!」 「いででででっ!?何だなんだぁ!?」 「…………」 圭吾が俺に触れる直前。冬理は一瞬で圭吾の横に回り込み、おかしな雄叫びを発しながら圭吾の横腹を殴り付けた。 え、なに?冬理って意外と武闘派なのか? 「某は千富橋彩夏の妹。千富ば…」 「なにっ!彩夏ちゅわんがいるのか!?俺を待っていてくれたんだねマイスイート!」 しかし圭吾は冬理の攻撃をものともせず、彩夏の名前を聞いた瞬間、冬理の言葉を遮って標的を彩夏に切り替え、抱き着くような体勢に入った。 てか、俺と一緒にいるのが誰かも確認しないで飛び掛かってきたのかよ。 あれか。女子と一緒にいた事が気にくわなかったのか。 「某のこの手が真っ赤に燃える!お姉を救えと轟き叫ぶ!!うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!ベル〇ンの赤い雨ぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「いやそれ混ざ…ぐぼぼぼぼっ!?」 今度は圭吾と彩夏の間に入った冬理は、何を思ったのか、手に赤い手袋をはめてから圭吾の顔面に逆水平を叩き込んでいる。 移動は素早いけど前口上が長いな。あと何か混ざったらしい。 「あはは……面白い人だね……?」 しかし普段人懐っこい彩夏をここまで引かせるとは……流石と言わざるを得ない。 「じゃあ行くか」 「えっ!?二人はいいの?」 「大丈夫だろ。なんか楽しそうだし」 主に殴られてる圭吾が。 「それに待ってたら遅刻するかもしれないだろ?」 俺は学校の時計を指差して彩夏に今の時間を教えてやる。 今は予鈴も鳴り終え、時間は27分。結構ギリギリだ。 「そっか……分かった!じゃあとうちゃん先に行くね?」 「了解っす!このテラホ野郎を潰したら某もすぐに後を追うっすから!!」 俺達は強敵と闘っているような台詞の了承を冬理に貰い、少し急ぎ足で校舎に向かって歩き出した。 彩夏の妹なだけあってなかなかキャラが濃いな。でも何故か圭吾と気が合う気がする。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!