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翔太は照れ隠しで、頭を掻きながら学校の外の方へと振り向いた。
そこには、やはり綺麗な夜景。
校舎の屋上はタワーの展望台の高さには遠く及ばないが、別に遠くまで見通す必要がないほどに、地上の星達は綺麗だった。
「……私も」
「……」
「私も、翔太に会えて良かった。私は幼稚だったからさ、たくさんしなくてもいい仲違いもしたけど……それも、もう、思い出だよ。今は翔太が隣にいてくれるから……それで、いい」
「ああ……ずっと一緒にいよう」
「リョネルとの戦いの時に、死ぬ時は一緒なんて言ったけど、本当にそうなったらいいね」
「そう、だな」
再び手をつないで、二人は、夜景を眺めていた。
黒い海を背景に、空の星と陸の星、重なるように煌めく。
「あ、流れ星……」
「マジで? 見てなかった……なんかお願いした?」
「うん……あのね? この街の最後に、もう一つ思い出が欲しいなって」
もじ、と恥ずかしがりながら、上目遣いでレイは、翔太を見つめる。
ドキリとして、翔太は、レイを見つめたまま硬直する。
そうしていると、レイが顔を上げ、目を閉じた。
「……ね?」
「……うん」
答えて、ゆっくりと、唇を、重ねた。
触れるだけの、フレンチキス。
この街での、最後かもしれない思い出。
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