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「おかえりなさい魔王様」
「お前今漢字で読んだな。違うって言ったじゃん! 俺はマオーって名前なだけなの!」
「チッ、うるせえな……どっちでもいいじゃねえか、と俺は心の中で呟いた」
「おもいっくそ口から出てるって!」
「そんなバカな……俺はそう心の中で呟き、内心冷や汗をかいた」
「お前、しばらくここ任せてたからって調子乗ってるな!? そうだな!? そうだろ!」
二人は歩く。
片方は少年の姿をしていて、悪態に似たふざけをしているのはそちらだ。
役職は副王。
否獣の組織――
「そういや組織の名前なんだったっけ」
「アースクエイクだろ」
「何言ってんだよ! 地震を英語で言っただけ、そんなのが俺らの結社の名前なわけ……あれ? 待てよ? そんな気がしてきた……誰がつけたんだっけ」
「お前だろーが! お前、しばらく外で自由にしてたからって調子乗ってるな!? そうだな!? そうだろ!」
「俺の言い方パクるんじゃねえ!」
否獣の組織、アースクエイクの副王である。
否獣というのは虹炎術師側からの呼称であり、否獣は自分たち――虹炎術によって生じた世界の歪みから生まれた突然変異種のことを、アースと自称する。
「で、アイツ使い潰した価値はあったのかよ?」
「まあそれなりに。とりあえず宣戦布告してきた」
もう一人は、青年と呼べそうな年格好だった。
こちらが魔王と呼ばれ、マオーと訂正した方である。
「まあ、そろそろだな。上官あと何人くらい要るかな」
「百人」
「死ね」
「死ねっつった! いやまあ、適当に作っといて。どうせ俺とお前でほとんどやっちゃうし」
「簡単に言うよな……」
副王少年はため息をついて、
「人類滅ぼすとかさ」
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