249人が本棚に入れています
本棚に追加
この二日前。
日付で言うと、十二月二十二日のことだ。
繋がらなかった協会との電話がやっと通じた。
それで聞いた異常事態の原因は、想像以上に深刻なものだった。
「この駅前まで、毎晩迎えに来てたんだよね」
「ああ、サッカー部やめて、格闘技を習い始めてからな」
協会本部への、マオーと上官一人の侵入、侵攻。
上官は仕留めたものの、本部の施設と人員に大損害を受けた。
「通学路か……」
「ここでも色々あったね。喧嘩したり」
同時に、一気に世界情勢が悪化した。
何者かによるなんらかの手が加えられたと思われる、複数国家間での対立悪化。
「このゴミ箱のとこだっけ……最初に会ったの」
「ああ、レイが空き缶投げつけてきたやつか」
協会と人類全体に同時に起きた危機に対し、会長ケーニヒは遊撃隊を本格的に活動させることを決めた。
今や、翔太という戦力は一兵卒のレベルを遥かに越え、戦局の鍵を握りうるほどになっている。
華那からのその進言を受け、敵の大戦力に対抗、撃破するための援軍要員として起用するのだ。
「この路地で、俺は初めて否獣に出会ったんだ。で、龍一に助けてもらった」
「トラウマになってたやつだね……」
当然、世界を転々とすることになる。
これまでのように、学校に行き続けることは不可能だ。
「レイの、前の家……」
「もう跡形もないね……」
翔太はこの街を出る。
その最後に、思い出の多いこの街を回る。
これがこのデートの、裏の意味だ。
最初のコメントを投稿しよう!