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「あ、あの…、何を…、」
谷川はただ、受付嬢の手を取り優しく微笑んだ。
あーあ、なるほど、と菊地は、性交の真似事をする幼稚園児を見るような目で、二人の様子を見つめていた。
谷川には、神様のエコひいきとしか思えない、眉目美麗な顔という、テポドン級の武器がある。つまり、ナンパを仕掛けようモノなら八割の女は落ちる。
菊地の目をよそに谷川は、受付嬢を口説いていく。化石の回りの岩を少しづつ削っていくように。そして、十分後、受付嬢は落ちた。
「笹倉先生は十二階にいらっしゃいます。今なら、スケジュールも空いてますし、お会いになってくれると思いますよ。」
受付嬢はにこやかに告げる。彼女の手元にある笹倉のスケジュールを書いた紙によれば、この後三分後に、大手医療機器メーカーの、『glory』との面会が控えているのだが…。
菊地が受付嬢をみると、どーぞ行っちゃてください♪と言わんがばかりの笑顔を見せていた…。
若干、罪悪感もあったが、又とないチャンス。谷川と菊地は、笹倉の待つ十二階へと迎った。
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