谷川相談事務所

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~翌朝、東京のどこか~ 東京のどこかにたたずむ綺麗な三階建ての一軒家。 外観は白く、家の前には、取って付けたように、 谷川相談事務所 と、書いた看板が下がっている。 午前六時、そこから、昨晩の菊地が顔を出した。趣味の悪いパジャマを着ている所を見ると、どうやらこの事務所に住んでるようだ。 もはや、開いてるかどうかも分からんほどに目を萎ませ、菊地はポストを開いた。 「やっぱり新聞しかないよ…。だから依頼の郵送での受付は流行んないっていったのに…。」 新聞を小脇に抱え、事務所に戻ろうとした時、菊地は看板を眺める若い女性に気がついた。 珍しいな、と、だけ思い今度こそ事務所に戻ろうとすると、その若い女性は菊地に話しかけて来た。 「あ…、あの、」 「!?。俺?」 回りには、電柱に噛みつくバカな野良犬しか居ない。 「あの、谷川相談事務所って、ここですよね。」 「あぁ…、はい。まぁ、俺は谷川先生じゃないんだけど。」 「…。谷川先生は…?」 「まだ、寝てると思います。あ、中で待ちますか?」 「いいんですか?看板には、受付は8時からだって、」 確かに…。看板には受付、午前8時から谷川に睡魔が襲ってくるまで、と書かれている。 何て、自分勝手な男だろう…。 「あぁ、気にしなくていいっすよ。あの人放って置いたら最大2日は寝てますから。それじゃ仕事になんないから受付を8時開始にしてるんですよ。用は谷川専用目覚ましです」 専用と名の付くモノの中でも、ぶっちぎりの情けなさだ。 とにかく、菊地は女性を事務所に入れた。 先に女性を中に入れ、自分も入ろうとしてドアに手をかけると、事務所の前で、さっきのバカ犬が口から血を出しうめいているのが見えた。 菊地は気にしなかった。
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