不馴れな朝、変わる日常

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階段を下りるとマンション前には黒光りした車が止まっていた。 Rolls-Royce Ghost ロールスロイス ゴースト コーチドア(観音開き)御大層な車だ 『笹間 あまり目立たないようにと言ったはずですが?』 燕尾服を着た若い男性に声をかける。彼との間柄は執事と主人という関係だ、俺の素の顔をしる数少ない人物でもある。 『申し訳ありません、邸にある中で一番目立たないものを選んだつもりなのですが……』 笹間はしょんぼりと肩を落とした。考え抜た結果がこの長い高級車となった訳か、香野とは偽名なのだが俺の親父はかなりの裕福な家系のようだ。 『そんなに落ち込まないでいいですよ大丈夫バレた所でもう関わりはないでしょうから』 関わりがない。自分で言ったその言葉に納得してしまった。あの出来事が少しフラッシュバックをし笑みが深く陰る。 『獅遠様…』 笹間の顔が少し悲しく歪んだような気がした _
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