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「はぁ…」
体育倉庫で、また盛大なため息。
実咲子に秘密を作るのは辛いよぉ…。
「でっけぇため息」
え?
いま、佐藤の声がしたような?
いやいや…幻聴でしょ。
「おまえに言ってんだけど?安西陽菜」
完全無視を決めこもうとしていたあたしの耳に届く、悪魔の声。
そこにいたのは、やっぱり佐藤。
「…気安く話しかけないで」
わざとめちゃくちゃ不機嫌な声を出す。
「今の陽菜ちゃんはそんなこと言える立場?」
内心イラっときたけど、平静を装う。
「約束は守るよ。だけど、必要最低限のこと以外は話しかけないで」
「ふーん。俺が話しかけたら困るんだ?」
なんでこんなに偉そうなんだコイツ。
あーっ、腹立つ!!
「困るに決まってんじゃないっ!!」
我慢の限界に達したあたしは、佐藤を大声で怒鳴り、
「おい」
と呼び止める佐藤をガン無視して体育倉庫をでた。
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