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「佐藤!!…いたの?」
エレベーターホールの壁に背中を預け、
腕を組みながらあたしをバカにしたように薄く笑いを浮かべる佐藤。
「いたよ」
「い、いつから…」
「おまえが上がってくる前。独り言もバッチリ聞いた」
「いるなら、声くらいかけてよ」
「…安西が面白いからほっといてみた」
くぁぁぁぁっ!!!!
コイツ、また人のことバカにして!!
やっぱりムカつくヤツ!!
「いきなり家に来いなんて、なんのつもりなの?」
一気に機嫌が悪くなったあたしは、声をワントーン低くして佐藤に尋ねる。
「なんのつもりって、おまえ…」
佐藤は呆れたようにはぁ…と息を吐くと、髪をクシャッとして下を向いた。
な、何!?
あたし、なんか悪いこと言った?
「な、なんかゴメン…」
絶対あたしは悪くないけど、なんか謝らなきゃいけないような気がして、とりあえず謝ってみた。
「おまえニブすぎ」
は、はい…?
「え、な、何が…?」
佐藤の言葉の意味をいまいち理解できなくて、しどろもどろになるあたし。
そんなあたしをよそに、佐藤は続ける。
「ったく…ちょっとは警戒しろよ…」
ますます分かんなくなる。
コイツ、なにが言いたいの?
黙ってしまったあたしを見て、佐藤が何を思ったかは分からない。
気まずくなっただけかもしれない。
「とりあえず部屋入れ」
そう言って、あたしの先を歩き出した。
「え、ちょっ…!!」
スタスタと歩く佐藤に、とりあえずついていく。
あたし、これから何されるんだろう。
今さらだけど、恐ろしくなってきた。
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