あんたなんて大嫌い!!

3/11
前へ
/247ページ
次へ
◇ 体育館に響くドリブルの音。 そう、いまは部活の時間。 女子バスケ部のあたしは休憩中。 男子バスケ部の練習風景をぼーっと見てる。 そんなあたしの背中に、ずっしりと体重がかかった。 「なーに見てるの♪陽菜!!」 「実咲子!!」 正体は同じ部で親友の実咲子だ。 「ぼーっとしちゃってー。何?男バスに好きな人でもいるのかしらぁ!?」 「バカ!!そんなわけないでしょっ!!」 「じょーだんだって、じょーだん♪」 「もぉ…」 実咲子はウフフと笑ってあたしと同じ方向に視線を投げる。 「でもさぁ…」 「ん?」 「冗談抜きに陸くんはカッコいいよね♪」 はぁ。 また始まったよ。 「あんなヤツのどこがいいの?」 「全部!!」 実咲子は佐藤陸の筋金入りの大ファン。 よりにもよってあたしの大嫌いなアイツの。 「あたしにはさっぱりわからんわ」 「あたしもなんで陽菜がそんなに陸くんを嫌うのか理解できない!!」 「あたしはああいう男が嫌いなの!!」 「はいはい。陽菜のタイプは真面目で頭がいい好青年だもんねぇ」 「そゆこと」 「でもあたしは陸くんがもろタイプ♪」 「はいはい。」 あたしも実咲子の視線を目で追う。 視線の先にはやっぱり佐藤陸。 たった今、スリーポイントシュートを決めたアイツの姿に、実咲子は大興奮。 カッコいいなんて思わない。 バスケはうまいと思うけど。
/247ページ

最初のコメントを投稿しよう!

353人が本棚に入れています
本棚に追加