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◇
ガコンッ…
ガコンッ…
体育館に響くこの音は、あたしがシュートを外す音。
だって…
集中できない!!!!
忘れ物を取りに来たはずの佐藤陸が、体育館の入り口から動かないんだもん!!
「忘れ物は…?」
おそるおそる尋ねてみても、佐藤は完全無視。
二回目だけど、
早く帰れぇぇぇッッ!!
◇
ガコンッ…
さっきから全然決まらない。
佐藤陸も動かない。
あと一本。
あと一本打ったらあたしの方から帰ってやろうと思って構えたとき、
「ぷっ…」
と笑い声がした。
誰が、なんて分かってる。
ここには、あたしとヤツしかいない。
「ヘタクソ」
そう言ったのは、佐藤陸。
ヤツは入り口からやっと動いて、あたしのいるコートに歩いてくる。
呆然としているあたしの手からボールを奪い、ゴールへと放つ。
スパッ…
ボールがまるで魔法のように、ゴールに吸い込まれた。
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