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都合のいい解釈だと怒られるかもしれない。
だけど、そう信じたい。
…信じる。
「おまえは晴樹さんになる必要なんてない。安西は安西のバスケをすればいいって俺は思…」
佐藤が言葉をそこで止めた。
な、なに…?
「ったく…泣くなよ」
え…?
あたし、泣いてたの…?
「嘘…」
自分の頬に触れ、温かいものが流れているのを確認する。
泣いてたんだ、あたし…。
「おまえに泣かれると困るんだよ…」
佐藤は眉を下げ、髪をくしゃりとかきむしると下を向いた。
「はやく泣け」
はい…?
さっきと言ってること違うんですけど…。
「俺、今見てねぇから。今のうちに泣け」
あ、そゆこと…。
佐藤の部屋で、佐藤の隣で。
あたしはしばらく泣いた。
まだ完全に晴にいちゃんの死を乗り越えられた訳じゃない。
だけど、背負ってきたものは少しだけ、軽くなった…。
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