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「安西ってけっこう動揺するタイプなんだな」
あたしを見下ろして、バカにしたようにそう言う佐藤。
ムッ…!!
ムカつくけど言い返せない。
動揺してたのは事実だから。
「俺が動かなくて、焦ったろ?」
余裕たっぷりにフッ…と笑う佐藤に、
プチンッッ!!
…あたしはキレた。
「そりゃ焦るわよ!!!!」
突然大声を出したあたしに、佐藤は目を大きく見開いた。
「大ッ嫌いなヤツがなかなか帰ろうとしないんだからッッ!!」
「おまっ…!!」
「だいたいあんた、忘れ物は!?忘れ物取りに来たくせになんで入り口から動かないのよ!?あたしはあんたに関わりたく無いのに、自主練見られて、イライラするに決まってんでしょッ!!」
佐藤はしばらく目をぱちくりさせていたけど、なんだか面白い顔になって、
「ぷっ…くくくくくっ!!」
いきなり笑い出した。
なにコイツ…
意味不明!!
「な、なによ」
「おまえ、本人に向かって‘嫌い’って!!!!…くく…そんなヤツ初めてだよ!!」
「は?」
「よくそんなはっきり言えるよなーっ!!ホントなら怒るとこだけど、バカ正直過ぎて面白いわ!!」
「面白い…?」
「あぁ。なんかバカっぽくて!!」
はぁ…?
バカっぽい…?
やっぱムカつくぅぅッッ!!!!
「ふざけんじゃないわよッッ!!」
足元に転がっていたボールをおもいっきり佐藤に向かってぶん投げる。
ゴンッ…!!
ボールが佐藤の顔面にクリーンヒットした。
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