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◇
「ただいまぁ」
家に帰ると、お母さんが玄関で出迎えてくれた。
「お帰り、陽菜。ケーキ用意してあるわよ」
「マジで!?やったぁ!!」
あたしは靴を脱ぎ、すぐさまキッチンに向かう。
「陽菜!!ちゃんと手洗いなさいっ!!」
そんなあたしを、お母さんが一喝した。
あちゃあ。
ちょっと、はしゃぎすぎたかな…。
◇
「いただきます!!」
きちんと手を洗い、着替えてから夕飯の席につく。
今日の夕飯はちょっぴり豪華だ。
お父さんは仕事。
あたしとお母さん、ふたりきりの誕生日パーティー。
うちは決して裕福じゃないし、むしろ貧乏の部類に入る。
だけど誕生日には豪華な食事を必ず用意してくれた。
ありがとう。
こんなに温かい家族に囲まれて育ってこれて、ほんとにあたしは幸せだ。
「…ありがとね」
あたしばっかり祝ってもらうんじゃなくて、ここまで育ててくれた両親に感謝したかった。
「何言ってんの!!陽菜がお礼言うなんて気持ち悪いわよ」
お母さんはケラケラと笑った。
その台詞、昨日も佐藤に言われたような…。
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