プロローグ

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直径が月より大きいエイオース実験施設の各破片は、死神も鼻白ずむほどの死と破壊を世界にもたらし、数日に渡って降り続け暴虐の限りを尽くした。   そして、被害はそれだけでは無かった。   感情を持たない空からの破壊者たちに怯える人々の元に、ある物質が到着した。   ニュードだ。   GRFは巧妙に隠していたが、実はニュードには、人体に対する高い毒性があったのだ。   ニュードに身体を侵された人々は自らが腐敗し、または結晶化して緩慢に死んでいくのを傍観するしかなかった。   治療法は無かった。   恐ろしいニュードの毒は、確かに極限までニュード本体を薄め制御すれば、毒性を無視してエネルギーとして使用出来た。   それでも、じわじわと人体に影響は与えるのだが。   自分たちの希望と信じた次世代エネルギーは、実は破滅への使者だったのだ。   人々はGRFを非難し、即解散を叫んだが、当のGRFも5万人の職員の内3万人を死なせ、事件がテロのためとあって、それが実現へと至らなかったのも仕方ないことだったかもしれない。   エイオース崩落直後から、GRFはニュード回収を宣言したが、組織体系が壊滅していたこともあり(本部が潰れていた)遅々として進まなかった。   2100年代後半、くすぶるGRFへの不信と反感は対GRF組織「EUST」(environment union against space threat)の結成という形で現れた。   EUSTは、エイオース事故で大なり小なり被害を持った国家・企業がGRFに対抗する目的で結成した組織で、ニュード難民救済や環境問題における回復、GRFへの公然とした対決姿勢で支持を集めた。   こうして対立する地球上の二大組織、ニュード難民たち、環境問題、無政府地域、様々な混沌を含んだ世界が幕を開けた。   物語はここから始まる。   『BODER BREAK』   @SEGA
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