エイオース、という呪い

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考えてみてくれ。   月より直径が大きい物体の欠片が、バラバラになって落ちてくるんだ。   運命の女神が後ろ向きにダーツを投げても、こんなふざけた当たりは引かないだろう。   もし――いや、例えその時どっちに転んでも、誰も彼もみんな同じだった。   俺が生き残ったのは奇跡だったし、俺の姉もそうだった。   とにかく、俺たち兄弟はあの呪うべき「エイオース爆発事故」を生き残った。   なぜ?それは、俺たち二人はたまたまジュニアハイスクールの国外旅行で、北米産業連合のある北アメリアナ大陸にいたからだ。   エイオースの欠片は、俺たちの家のあった場所をクレーターにしちまった。   他の場所も、いや地球上の五割くらいは似たような状況だったろう。   この事件はもちろん世界中を揺るがし、世論と世情を混乱と崩壊の坩堝に叩き込んだ。   10年以上たってもその状態は続いてる。   とにかく、死んだ奴は多すぎたし、死ななかった奴は少なすぎた。
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