第二話  郵便受けの中

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気がつくと郵便受けの前に立っていた。 恐る恐る中を覗いたが、中には何も入っていなかった。 俺は大きく一息つくと、家に戻ろうとした。 するとその時――パサッ――いう乾いた音がはっきりと、郵便受けの中から俺の耳に向かって響いて来た。 反射的に振り返り、周りを見わたした。 この辺りは俺の家しかなく、周りには畑と細い道が有るだけだ。 木の一本すら生えていない。 冬が近いこの時期、畑は土の色に染まり、何も植えられてはいなかった。 子猫一匹隠れる場所さえ無い。 それなのに、誰一人見当たらないのだ。 俺は郵便受けの中を覗いた。 中にはやはりあの手紙が有った。 そしてそこには考えたく無い事だが、見たくも無い物だが、俺の思っていた通り、「1」と書かれた紙がそこには入っていた。        ・ その日の夜は眠れなかった。 これで二日続けて徹夜だ。
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