第三話  もう限界だ

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その大混乱の中でもデッドラインは少しも休むことなく、ひたすらマイペースですいすい下降を続けていた。 そして地上十メートルほどになった時、世界中の人々が心の底から叫んだ。 「もう、だめだ。もう限界だ!」 するとデッドラインはぴたりと止まった。 暫く見守っていたが、下降する気配が全くない。 生き残った人達は胸をなでおろし、変わり果てた地上の再建へと動き始めた。 そして新しい政治や経済体制、交通やマスコミなどの機関が生まれ、再建のめどが立ち始めた時、再び宇宙の彼方よりメッセ―ジが送られてきた。 それはそれまでとはやや異なる内容で、ヒステリックなまでに繰り返し送られて来たのである。 そして生き延びた科学者達が再度解読にあたり始めた時、地球上の空気が一瞬にして全て消滅した。 地球は完全に死の星となった。
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