第一話  彼女と海へ

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唐突にひろしが言った。 「もう、別れようか」 後はお決まりの修羅場となった。 泣きじゃくり暴れまわる今日子を、何とか実家まで送り届けると、ひろしは早々に家へと帰って行った。 その後何度も何度も今日子から電話があったが、ひろしは一度も電話に出なかった。 そのうちに、今日子からの連絡が、ぷつりと途絶えた。        ・ 今日子が海に身を投げた、という事をひろしが知ったのは、それから暫く後の事である。 ひろしは自分が原因だとは思いたくはなかったが、他に理由が何も見当たらなかった。        ・ しかし秋にはのぞみと知り合い、冬には誰もが羨む仲となっていた。 ひろしは次第に今日子の事を思い出さなくなっていった。        ・ ひろしは海を見ていた。 去年のあの時のように。
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