ゆうきスーツ 其の三

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店内を通ると、たくさんの衣裳が並んでいた。どれも華やかで、とても手作りだとは思えないほど立派だった。 そう思って眺めながら歩くと、衣裳の列の中に一つポツンと、黒い衣服があった。 「これがオレの作ったヤツ。」 「・・・・なんか変だな」 「え?」 「あ、いや、スーツの出来映えのことじゃなくて・・・・」 「じゃなくて?」 「あ、やっぱなんでもない。」 「そっか・・・・・」 確かにスーツのつんつるてんさは変だが、そういう意味ではなく、 なんかヤバいのだ。不気味だというか・・・・、まがまがしい『気』を感じる。 「まさか・・・・・」 「あ、いたいた。2人とも、お茶の用意が出来たぞ。」 「はーい」と2人は返事をすると、 そこを離れた。
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