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もう、逃げられない…
俺の目にはたった一本の木さえ映らなかった。
森が終った。俺は永遠に広がっていると思ってた世界が突然ぷっつりと途絶えている事実に愕然とした。
これからどうする?別の方角に逃げるか?無理だ。奴らは群ごと根絶やしにする気でいる。だから、ここまで俺たちを追って来ているんだ。
カサッという物音を聞いた気がして大地を見下ろすと、そこには1匹のネズミがいた。
森の外にもネズミは居るのか…。そう、何気なく思っていると、ネズミから少し離れたところに、体を低くし、ゆっくりと歩く猫の姿を見つけた。
どうやら、猫はネズミを狙っているらしかった。
猫は、じりじりと歩み寄りネズミとの距離を縮める。そして、ついに猫が草むらから飛び出し、瞬く間にネズミを捕まえてしまった。
のだが、猫はギャーッと叫んで捕らえたネズミを離してしまった。
よく見ると、猫は鼻から赤い血を流している。ネズミは、殺されてしまう前に猫の鼻に噛みついて、怯んだ隙に逃げてしまったのだ。
この時、俺は決意した。
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