猿、二足歩行す

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俺たちは歩き続けた。安全な住みかを求めて。 たまに後ろ足2本で立って当たりを警戒する。そしてまた4つ足で歩きだす。 そのうち、子どもたちが俺の真似を始めた。母親の背に股がり、キョロキョロと辺りを見渡したり、背の上に立ってバランスをとったりして遊びだした。まったく、気楽なもんだ。 また立ち上がって様子を伺う。4つ足で歩く。 この動きが案外疲れる。そこで、ふと思った。この動作を省略できたら。辺りを見渡したしながら歩くことができれば…と。 それから、俺は後ろ足2本で歩く訓練を始めた。 2本足で歩くと目線が高くなり、見晴らしが良くなるだけでなく、前足が自由になる。 そのうち皆真似して歩くようになった。 俺は、この自由になった前足で未来を掴むのだと決めた。
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