再会。出会い。別れ

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俺が死(性的な意味で)を覚悟した時。前の教室の扉が突如開き、そこから彩夏が顔を出してそう声を掛けてきた。 俺はそれに従い教室に駆け込んだ。 ……でも気になる点は幾つかある。 校内を走り回っていて先生も生徒も誰一人として擦れ違わなかった事。 いくら放課後とは言え生徒はおろか先生も居ないというのはどうもおかしい。 そして何故、彩夏が学校に残っていて俺が追われているのを知っているのかという事。 でも今はガチホモ圭吾から逃れる事が先決だ。 「宋一ぃぃぃぃ!!光の射す方へー!光の射す方へー!」 暫く息を潜めていると、意味不明な台詞を叫んでいる圭吾の声が遠ざかっていった。 どうにかやり過ごせたみたいだな。 「はぁ…はぁ……彩夏……助かったよ」 「ううん、いいんだ。オイラもイチロー君に伝えない事があったし……」 俺が肩で息をしながら彩夏に礼を言うと、彩夏は少し頬を赤く染めながらそう返してきた。 「そうか。彩夏も…………えっ?」 彩夏……も…………?……も?
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