Chapter*1

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さっきよりも強く、 それが胸の中で飛び跳ねる。 何度も何度も。 実を言うと、 仁美とは同じクラスに なったことがあったが、 蓮とは今回が初めてだった。 だから、 同じクラスってだけで 奇跡なのに… こんな偶然って… 「お、舞と隣じゃん」 「ひゃぁっ!!」 気がつかないうちに 蓮の顔が私の顔の 真横にあった。 「あ?何だよ変な声だして」 「べっ別にっ!!」 不思議そうに蓮は 私の顔を覗き込む。 ちょっ!! ドアップやばいって!! ただでさえ隣の席ってことに 赤く染まりかけてた私の顔は、 あっという間に 完全な赤へと変わる。 ヤバいヤバい!! さすがに気づかれるって―!! 「れっ蓮!よっよっよろしくね!!」 「…ぶはっ!!噛みすぎ!」 「そっそんなことないです!!」 「なんでそんな、かしこまってんの? いや―隣が舞でラッキーだわ―」 「え?…なんで?」 「なんでって…?えっと…だって、初対面の奴みたいに変に気―使わなくていいだろ?…あ、でも新しい出会いが減ったかな(笑)」 蓮はそう言うと、 また無邪気な笑顔で笑い、 先に席に向かった。 …うん。 大丈夫。分かってる。 分かってるはずなのに、 “もしかしたら”ってちょっと期待したみたい。 やっぱり私バカだな… .
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